菊川ハンドメイドギターショーにてお披露目させていただいたオールローズギター、
その後ちらほらお問合せを頂くのですが、
そういえばしっかりとご説明をしておりませんでした。
このギターはデジマートマガジンさんの人気コラム
の特別企画として当工房に製作のご依頼を頂いたもので、
つまり私は下請けです。
下請けにしてはかなり、いや完全に好き勝手やらせていただいてしまいましたが、
販売についてはデジマートマガジンさんのコラムにて詳細が発表されますので、
おそらく今月末に更新されますコラム最新号をお待ちください。
前回のブログで荒製材の様子をご覧いただきましたので、
今日からいよいよ製作に移ります。
ちなみにオールローズギターですから、
今後写真の色味はず~~っと一緒です。
覚悟の上ご覧ください。
まずはネックです。
普段私は「ネック材」として製材されたものを仕入れることが多いのですが、
今回は大きい木の固まりの中からネックに向いた場所を選ぶ作業からスタート。
目が詰まっていて、木目も出来るだけまっすぐなのが理想です。
切り分けた材の中で、右から2番目のものを使うことにしました。
十分な厚みがありましたので、
それをさらに2枚にスライスし、ネックと指板に使います。
つまり、ワンピースではなくて、貼り指板仕様で進めます。
まずはその指板から加工。
このギターの全ての基準となるフレット溝を切り、
指板表面に丸みを付けます。今回はR9.5inch。
その後ネックの仕上がり幅に切り出し、
ポジションマークを入れて指板完成です。
実は既にこの作業をしている段階で、このギターがとても良いものになるであろう感触がありました。
木の質がとても素晴らしいのです。
目が詰まっている硬い木でありながら、思いの外切削性が良く、木くずもサラサラです。
ローズウッドに代表されるマメ科の木は材中の油分が多いものも多く、
そういったものは刃も立たず、ヤスリも目詰まりしやすくて、加工が本当に大変なのですが、
このローズは油分をほとんど感じません。
さすが昭和40年代輸入材。
木材的にはおそらく、ビンテージのオールローズギターに近いか、それ以上の状態になっているのかもしれません。
そしたらネックの構造的な部分の加工に移ります。
まずはネック序盤の大事な作業、トラスロッドの仕込みです。
トラスロッド溝の蓋材ももちろんローズウッドで作りました。
これだけのローズウッドを加工させていただけることはとても贅沢なことなのですが、
この後しばらく悩まされたのがその匂いです。
ローズウッドの中でも、ブラジリアンローズはとても良い香り。
今回のインディアンローズはどちらかと言うとエスニックな香りで、鼻にツンときます。
その木屑が体について、汗と反応すると、何と言うことでしょう。
まるでウ〇チのような香りに変化。
ローズの言葉の響きとは程遠く、
なんでよりによってその匂いと思いますが、化学反応恐るべしです。
実際、ローズウッドに代表されるマメ科の木材にはウ〇コ系の匂いの木が少なくありませんが、
それは切りたてや加工中のお話で、
完成した楽器からはまずにおいませんのでご安心を。
そんな経験が出来るのも、ある意味贅沢な悩みと言えるでしょうか。
話が反れましたが、
トラスロッドの両脇にご注目。
今回はサポートロッドとして、KTSさんのチタンバーを入れてみます。
ローズ単体で強度としては十分過ぎるものがありますので、
軽量で振動性の良いチタンには、主に音響面での効果を期待しています。
そしたら指板を接着。
指板接着後は、
サイドポジション入れ加工、
ヘッド表の段差付け加工、
グリップの仕上げ加工から、
フレット打ちへと進みます。
全て万全に仕上げましたので、
ローズウッド抜きにしても本当に良いネックが出来たと思っています。
この時点で640g程。
一般的なハードメイプルより100g程重たいです。
ネックはとても良いものになりましたので、
次回ブログからいよいよボディの加工をご紹介させていただく予定です。