菊川ハンドメイドギターショーまであと10日!
先週ご納品させていただいたばかりの個人様オーダーレスポールも、
菊川ハンドメイドギターショーに展示させていただくことになりました。
木工の様子は先日までにたっぷりとお届けしておりますので、
今日は塗装から完成まで一気にご覧ください。
カラーはレスポールらしく、タバコサンバースト風に。
トップのメイプルにローステッド材を使いましたので、
その分全体的にダークで落ち着いた雰囲気にしあがりました。
仕上げもセミグロス。
渋い。
さぁ、組み込んで参りましょう。
フレットは当工房では毎度おなじみのFreedom Custom Guitar Researchさん製ステンレス。
2種類あるうちの、柔らかい方を使っています。
ステンレスらしい光沢はありますが、ニッケルシルバーと同等の硬度で、
サウンドもステンレスステンレスしていない、そんなフレットです。
こちらもフレットエッジまで万全に仕上げ。
ナットは本象牙。
選りすぐった最高級部位から削り出しています。
ペグはビンテージタイプのルックスを持つロック式、
GOTOHのSD90-MT-Dです。
ロック式なのに軽量という素晴らしい商品です。
ボディの組込み作業は、
ストラトなどと比較するとやっぱり少し手間がかかります。
特に難しいのが、エスカッションやピックガードの取り付け。
位置合わせに明確な基準を設けにくく、
かつボディトップが平らでは無いため、
取り付けに苦労します。
まずはエスカッションをボディの形状に合わせ研削。
世の中ビスで無理に着けているものが多いですが、
そうすると後々エスカッションが割れてきます。
形を合わせたら、
指板エンドに接するフロントピックアップのエスカッションの位置決めと固定。
そのフロントピックアップの位置を基準にリアのエスカッションの位置決めと固定。
それらにピタリと合うようにピックガードの型を作り、板材からピックガードを削り出します。
これらプラスチック部品を取り付けるだけで軽く半日かかってしまいました。
Gibsonの従業員だったらクビ間違いなしの仕事の遅さです。
配線はこんな感じ。
レスポールらしく、単芯のシールド線を張り巡らせています。
コンデンサはバンブルビーやらブラックビューティではありませんが、
同年代のスプラグビンテージオイルを使いましたので、
すごく銀色な配線になりました。
カッコいい。
それぞれのポット、実は1個1個ボディトップの形状に合わせ
角度を変えて取り付けています。
そうすることで、ボディトップのカーブ形状に合うようにノブを取り付けることが出来ます。
こういったことをコツコツとやると、高級感がグっと増してきます。
こうして木工同様、
組込もいつも以上に時間をかけて、
ようやく完成。長かった。
おそらくこのギターで一番目立つのは、この指板からヘッドへとつながるハカランダ。
1点もの、カスタムオーダーのなせる業です。
ネックのキューバンマホガニー、
ホンジュラスマホガニーとは違った高潔さがあります。
さすが世界3大銘木。
さぁ、全体像をご覧ください。
こうして、Y.O.S.流のレスポール無事完成です。
外見は本家に比較的忠実に、
ただし細部は、私が「レスポールはこうあるべき」と思うように設計し進めてきましたので、
例えば現行の本家レスポールと比較すると、いろいろと変えている部分があります。
カーブトップの形状はそもそも本家でも年代や個体によってバラバラなので、
わたしとしてはどれも参考にすることなく、
とにかく滑らかで美しいカーブトップ形状と言うものを意識して製作しました。
ネックの仕込み角度も、現行のレスポールなどと比べると、少し浅くしています。
その分ブリッジはボディ近くに位置しますので、
テールピースもボディトップピッタリまで下げています。
本来レスポールってこうあるべきだと思います。
全体重量は3.8kg。
ビンテージレスポール並みの軽さです。
もちろん、ボディの軽量化等は一切せず、
軽量な素材を厳選して作った結果です。
サウンドはとても綺麗で、表現力豊かなものになりました。
フロント、リアのキャラクターがハッキリしていて、
その分ハーフトーンまでとても魅力的。
ピッキングの強弱への反応が凄くて驚きます。
シングルコイル好きのわたしとしては、
ご依頼主に「タップも付けますか?」なんて聞いたこともありましたが、
そんなもの不要なくらい、いろんな音を聞かせてくれる、そんなギターです。
ご依頼主には、先週土曜にご納品させていただきましたが、
1週間ちょっとで一度戻してもらって、
ハンドメイドギターショーに展示させていただくという
我ながら鬼畜なスケジュール。
快くご協力くださるご依頼主に心底感謝です。