ちょっと時間が空いてしましましたが、
レスポール作り第2回目です。
前回をご覧になっていらっしゃらない方は、
是非こちら(Y.O.S.流レスポール作り①)もご覧ください。
今日は地味ですが、
重要な作業の連続です。
まずはいつも通りネックから。
材はキューバンマホガニーです。
ホンジュラスマホガニーよりやや目がきつく、硬質な材です。
ここではマホガニーの種類については特に触れませんので、
ご興味深々の方は是非こちら(外部サイト)をご覧ください。
角材からへの字型に切り出し、
指板面、ヘッド表の角度出し、ヘッドの厚み出し、ネックの仮厚み出し、グリップの仮成形と進みます。
それぞれ寸法的には多少余裕を残していますが、
こうして不要な部分を切削していきます。
これだけ質量が変わると、当然反りなどの狂いも少しずつ出ますので、
それらも随時修正しながら進めます。
極まれにこの時点で修正不可能なくらい反ってしまう木なんかもありまして、
それはもう予知しようもないのですが、
木工加工の怖い部分でもあります。
そしたら重要な作業、トラスロッドの仕込みです。
セオリー通り仕込みます。
ボルトオンのギターであれば、
この後は指板の接着へと向かいますが、
レスポール作りで指板を接着するのはまだちょっと先。
レスポール製作上もっとも重要、且つ難しい部分、
ネックジョイント部の加工へと移ります。
たとえばストラトキャスターであれば、
基本的にボディの表面に対してネックも指板面も平行な設計になっています。
ボディの表裏も並行ですし、
ネックとヘッドも平行な位置関係ですから、設計上難しい部分はそれほどありません。
見よう見まねでも何とか設計出来ます。
ところがレスポールは、
ボディに対してネックは少し角度をつけて取り付けます。
しかもそれらを接着しますから、
その後でやり直すことは出来ません。
レスポールが厄介なのは、
ボディのトップがアーチトップ(カーブトップ)であることで、
ボディの表面の高低差は一番高いところと低いところで、約10mmもあります。
ブリッジはその一番高いところに乗っかり、
ネックは一番低いところを基準にはめ込みますので、
その2点を上手く繋ぐ角度を付けて、ネックをセットする必要があります。
もちろん事前に正確な図面を引いて臨む作業ですが、
レスポールの図面が正確に引ける方は、
エレキギターの構造については熟知されている方と言えます。
あとは自分の図面を信じて、
正確に削っていきます。
ジョイント部底面の角度を出したら、
ボディとジョイントする部分のホゾ加工を進めていきます。
上の写真ではわずか3枚ですが、これらの作業がものすごーーーーく重要ですので、
1面1面、何度も確認をしながら進めています。
とりあえずその加工がバッチリ行きましたので、
一旦ここは置いといて、
このギターの特徴的な装飾的作業を済ませておきましょう。
ここを早くやりたかった。
前回の指板製作の段階で、指板材から切り出した余りの材がありました。
これ、何に使うかと言うと、ヘッドの表の突板として使います。
アコギなんかではヘッドの表面にローズウッドが貼られているものが多いですが、
エレキでは珍しいですね。
そしてここからが、「これぞカスタムギター」という贅沢な仕様。
指板とヘッドの突板は同じ木から切り出していますので、
指板からヘッドにかけてブラジリアンローズのオレンジストリークな木目が見事に繋がります。
なかなかこれだけサイズが大きく、
かつ木目が綺麗なブラジリアンローズ材は流通していませんので、
ご依頼主はやはり強運の持ち主でいらっしゃいます。
ちなみに上の写真、指板はまだ置いているだけで、
ここで接着しちゃあいけません。
ネック側が良い感じに進んできましたが、
現時点で加工を進められるのはここまで。
一旦ボディの加工へと移ります。
というか、ボディを進めないと、
ネックが進められません。
このあたりがレスポールの難儀な部分です。
ボディに使う材はこれらです。
またまた変な材を使って・・・
と思われるかもしれませんが、
これも立派なハードメイプルです。
もちろん色が全然違いますから、普通のハードメイプルではありません。
「サーモウッド」とか「ローステッドウッド」とかそんな呼び方をされている熱処理材です。
このあたりの材のチョイスについてはまた後日ご説明させていただくといたしましょう。
ブロック材からブックマッチに挽き割って接着。
センター付近は柾目、外に行くにしたがって板目に変化する、
ビンテージレスポールらしい木取りを心がけました。
バック材はホンジュラスマホガニーです。
配線用のキャビティを事前に加工して、
バック材とトップ材を接着します。
このまま接着剤の水分が抜けるまで3日程乾燥です。