Y.O.S.流レスポール作り①

今当工房ではエレキギターの代表2機種、

ストラトキャスタータイプとレスポールタイプをほぼ同時に製作しています。

 

偶然にも同時期に、別々のお客様よりオーダー頂いたものです。

 

前回まで2回に渡り、ストラトキャスタータイプのネック作りの様子をご紹介して参りましたので、

今回からはレスポールに移ります。

 

この2本、同じエレキギターでありながら、作り方が全然違います。

 

どちらが良い、悪いではありませんが、レスポールタイプは手間がかかります。

その差はちょっとどころではありません。

 

前回までのストラトネックのエントリーも是非ご覧いただいた上で(ストラトネック①ストラトネック②

私ならではの神経質なレスポール作りをお楽しみいただければと思います。

 

まずは指板作りから。

ハカランダ指板 レスポール

指板材の木目、なんとも個性的ですね。

こちらはストラトネックと同様ブラジリアンローズです。

「オレンジストリーク」と呼ばれる、黒字に赤褐色ラインが美しい高級材です。

 

今回は特別に、一般的なギター用指板材サイズより長め幅広材を使っています。

そんなサイズは流通量も少ないのですが、

そんな中絶妙なこれだけ美しい木目の個体がタイミングよく入荷出来ました。

ご依頼主は強運の持ち主でらっしゃるようです。

 

まずはその長い材から、指板に必要な長さで切り出しまして、

フレットの溝を切ります。

余った材も今後重要なパーツとなりますので、大切に保管します。

 

この後は早速ストラトネックには無い作業に突入します。

Les Paul

レスポールの特徴でもありますポジションマーク。

ディッシュインレイと呼ばれる独特の形をしています。

 

インレイはいつ入れても良いのですが、

指板表面が平らなうちに作業したほうが楽なので、

このタイミングで入れてしまうことにしました。

 

作業としては単純に、インレイの大きさ分指板を掘り込み、

そこにインレイを接着していきます。

 

ストラトのような、丸いポジションマークであれば、

卓上ボール盤で丸い穴を空ければすぐに終わる作業ですが、

形が丸じゃなくなると、途端に大変手間な作業となります。

 

当工房にはNC彫刻機はありませんので、1個1個手で掘ります。

こんな感じで入れていきます。

ディッシュインレイ

我ながら、神経質なインレイ作業です。

少しくらい隙間が出来ても特に目立ちはしないのですが、

せっかくやるのなら、綺麗にはまったほうが気分が良いです。

 

これが1個、2個なら楽しいんですが、

9ポジションは途中で飽き・・・・じゃなくて、集中力を持続させるのが大変です。

数時間かけて全ポジション掘り終わったら早速接着。

 

その後右写真のように、全体を必要な幅に切り出しました。

見た目では分かりにくいですが、指板表のRも成形しています。

 

なんとなくレスポールの指板っぽくなって参りましたが、

もう1つ足りないものがありますね。

指板の外周を縁取るセルバインディングを貼っていきます。

 

今でもセルバインディングと呼びますが、

最近はセルロイド素材を使うことは少なく、

こういった単色のバインディング材はCABと言う素材で作られているものが多いです。

 

それをCABボンドという、有機溶剤入りの接着剤でくっつけます。

CABは有機溶剤で溶けますので、

イメージとしてはバインディング材を溶かして木にくっつけている感じです。

 

タミヤセメントを使ったプラモデルの継ぎ目消しと同じといえばガンプラ世代の方は分かりやすいでしょうか?。

 

数日後、はみ出たセルバインディングを削り取ったら、

指板の厚みを仕上げ、

最後にサイドポジションマークを入れておきます。

インレイとかバインディングとか、機能的には対して重要じゃありませんが、

こうしてみると、

やっぱりレスポールには欠かせませんね。

 

こんな感じで、レスポール作りはいろいろと手間がかかります。

 

「ハンドメイドレスポール」というものが世の中あまりないのは、

そういう理由もあると思います。

 

私もそれは重々承知していましたが、

こうしてオーダー頂く機会を得ましたので、

一生に一度のつもりで、

Y.O.S.流、神経質なレスポール作りをしてみたいと思っています。

 

結果完成するものは、

本家とは一味もふた味も違うはず。

私自身、完成が楽しみで仕方ありません。

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ABOUT YOS

静岡県島田市のギター工房です。
カスタムオーダーギター・ベースの製作、リペアとカスタマイズ、オリジナルエフェクターなどの設計・製作をしています。

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