6月から増え続けていた修理お預かり品、
7月いっぱいかけて集中的に作業をさせていただきまして、
現在はほぼ通常の納期でご返却が可能なところまで落ち着いてきました。
今お預かり中の楽器も1つ1つしっかりと作業をさせていただいておりますので、
ご返却まで今しばらくお待ちください。
このところあまりに修理ばかりしているので、
危うく自分が楽器を作る人間であることを忘れそうになりましたが、
ある日突然こんな材が工房に運び込まれてきました。
もしこの汚い木が道端に落ちていようとも、
これを拾おうと思う方はおそらくいらっしゃらないでしょう。
(私もまず拾いませんが、節穴や割れ目にクワガタがいないかはチェックすると思います・・・)
結論から言うと、
これ某所とのコラボ企画なんですが、
話を伺ったらなんだか楽しそうなので二つ返事でOK。
そしてお持込いただいたこの木を見てちょっと後悔・・・。
と言いつつもやるしかありません。
「上手く行かなければこの木のせいにすればいいじゃん」とここはポジティブシンキング(ほんとは凄い不安)。
まずは全く見えない木目やら木肌を確認して、
どういった木取りが出来そうかプランを練らねばいけません。
この板自体、一人では絶対に持てない重量ですので、
後日人に手伝ってもらって、なんとかなりそうなサイズにカットしました。
この時すでに工房内は間違えようのないこの木の濃厚な香りに包まれます。
(手伝っていただいた方はくしゃみが止まらず)
そしていよいよ木目とご対面です。
そう、あの巨大なボロボロの木は、ローズウッドの一枚板でした。
ほんとはもっと大きい状態で発見されたらしいのですが、
その様子は後日他のメディアより発信されるはずでございます。
ひとまずこれで木の状態が確認できました。
板自体は大きいですが、大きな節や入り皮、割れも多く、
使えるところが思ったより少なそうです。
でもローズウッドには珍しい変わり杢目な部分もあり、
上手く使えば個性的な楽器になりそうです。
そうつまりこれで、オールローズギターを作りなさい、という企画。
あとは全て私に任せていただけましたので、
この貴重な経験を楽しみながら良いギターにしたいと思います。
そしてその企画と並行して、
個人さんオーダーのギターも製作がスタートしています。
目の詰まったほんのりバーズアイメイプルネックに、
お上品な木目のブラジリアンローズウッド指板。
そして当工房秘蔵の、超軽量ワンピーススワンプアッシュボディ材。
これで、ストラト作ります。
それぞれの材は王道ですが、
実はフェンダーの伝統的ストラトには無い組み合わせ(近年は知りませんが・・・)。
特に〇〇年仕様とかに拘らず、
良いストラトを作りたいと意気込んでおります。
作業はもう大分進んでますが、
その様子はまた後日。
そして面白そうなものがもう1本あるんです。
マホガニーのネックに、
またまたブラジリアンローズ指板。
先ほどとは違って、濃淡のはっきりした個性的な木目です。
こちらはそう・・・レスポールになります!
写真右の謎材がボディのトップ材。
これは私の秘蔵材でございましたが、
いつかこれでレスポールを作りたいと思ってました。
きっと面白いものが出来るはず。
こちらも詳しい作業の様子は後日ご紹介しますが、
今日はネック加工の超序盤を。
ネック加工前の角材から、レスポールに必要な寸法で切り出しました。
もちろん木目方向や節の有無等、事前に念入りに吟味。
100ミリ角材からネック2本分切り出すことが出来ました。
そのうち一本を綺麗に製材したのが右側です。
ホンジュラスマホガニーにしては縦の縞がきつく、
アフリカンマホガニーにしては木肌がオレンジでシルキーです。
この木はそう、マホガニーの中のマホガニー、
キューバンマホガニーです。
私も手掛けるのは初めての材ですが、
ちょっと切り出しただけで、
これまで触ってきたアフリカンやホンジュラスとの違いが分かります。
タップトーンはやや硬質で、甲高い響き。
先ほどのストラトに比べると、
いろいろチャレンジングな要素も強いですが、
私らしいレスポールが出来るのではと思っています。
このキューバンマホガニー、
角材から切り出した時に、多少の端材が出ます。
それぞれ大きなものではありませんが、
マホガニーとしてはとても硬質で、木目も良いです。
これらは、今後主にネック折れリペアの補強用材として
有効に使いたいと思います。
(いやもちろん使わないに越したことはないんですが・・・)