木材表面の仕上げ方にはいろいろあって、
家具なんかですと最近は、
天然オイルや液体樹脂を浸透させ、
木の質感をそのまま楽しめるものなんかが多いようです。
ギターでもそういった自然仕上げみたいなものが増えておりますが、
個人的にはしっかりとした塗膜のグロス仕上げが好きです。
これぞギターって感じですね。
今日はオーダーのレフトハンドモデル、
塗装の仕上げの様子をご覧いただきましょう。
前回このギターを紹介した記事のときは、
最初の目止め塗装を施した状態でした。
その後木の導管を埋めるフィラーをすりこみ、
下地塗装のサンディングシーラーを吹きつけ。
その後着色(ほんのり飴色を着けてます)を経て、
ウレタンクリアを重ねたのが上の写真の状態です。
ウレタンは肉付きが良いので、
トータルで6~7回の吹付で完了します。
ラッカーだと10回前後でしょうか。
クリアを吹いた状態のギター、
写真では一見綺麗に見えますが、
それを拡大してみたのが中央の画像。
映り込んだ蛍光灯がぼんやりしてて、
塗膜表面がゆず肌の様になっていますね。
この微妙な凹凸を、
とても細かいヤスリで研磨したのが右側。
グロスフィニッシュは、
これをバフがけしていきます。
バフ布が高速回転するバッファーという機械を使って、
塗膜表面を磨き上げていきます。
研磨剤も使っていますので、実際には若干削れているのですが、
感覚的には傷を伸ばすような感じ。
ギターは形も複雑、
キャビティも沢山あいていますので、
バフがけの難易度はとても高いです。
ガリっと引っかかればそこは塗膜が無くなりますし、
最悪な場合は、引っかかった拍子にボディが飛んで行きます!
仮にそんなことになったら、この数週間の作業は水の泡。
そうならないよう注意しながら磨き上げたのが写真中央や右の状態。
苦労が報われる瞬間です。
もちろんバック面もグロス仕上げ。
綺麗な杢がさらに立体的に見えますね。
こうして仕上がった塗膜、
蛍光灯も綺麗に映り込んでいますが、
若いころはこうは行きませんでした。
一生懸命バフがけしても、
映り込む蛍光灯はグニャグニャ。
塗膜表面のわずかな歪みも、
グロスフィニッシュではごまかしが効きません。
綺麗な塗膜を作り上げる為に簡単な方法は無く、
木工作業の段階から出来るだけ綺麗な面を作り上げ、
それを崩さない塗装の吹付と研磨技術を経て、
ようやく出来上がります。
今後ギターのオーダーを検討される方、
塗装の仕上げで悩んだら、
私はグロスをおススメします。
というわけで、
このギターも無事完成を迎えました。
この後ご依頼主への納品が控えておりますので、
詳細な全貌をご覧いただくのは次回のブログになりそうです。
お楽しみに~。