14日~17日の4日間、当工房は夏季休業とさせて頂きます。
その間電話は不通となりますので、
お問合せ等ございましたらこちらからお願いいたします。
出来るだけ早く返信させていただくように致します。
ポッポを捕獲し続ける毎日に、
ポケモンGOの目的を見失いつつある今日この頃、
こちらは明確な目標に向かって形になって参りました。
こちらはレフティのオーダーギター用ボディ材。
どちらもあまり見慣れない木ですね。
トップの赤褐色材は、高級材の代名詞ハワイアンコアです。
ハワイの強風を連想させる歪んだ木目と、
コアらしい濃淡の中に、
素晴らしいカーリー杢が出ています。
もっと珍しいのはバック材。
こちらはリンバウッドというアフリカの木。
ギター業界ではコリーナという名称の方が有名です。
これはその中でもこのところ人気の、
黒い墨流し杢が入った通称「ブラックリンバ」です。
何と贅沢な1ピース材です。
これらを沢山のクランプを用いてしっかりと接着すると、
一気にギターらしい見た目に。
途中の写真撮り忘れです。ごめんなさい。
コントロール部分の加工等はまだこれからですが、
既にこの時点で普通じゃないインパクトがありますね。
肘に当たる部分にはコンター加工がしてありますが、
削っているのはバック材の方で、
トップ材はそれに合わせて曲げて接着する、
ドロップトップという高等技術を使いました。
コアは硬木ですから、
ここまで深く綺麗に曲げるのは大変。
私の得意技術の1つです。
これを裏返すと景色が一変。
ブラックリンバ、
何とも個性的ですね。
板目材(年輪に対して平行方向に挽いたやつ)ですから、
表面を1mm削っただけで木目の雰囲気が変わります。
ブラックリンバはこの墨流し杢のおかげで、
その変化が良くわかります。
中央に開いているキャビティは、
トレモロブリッジのスプリング収納用ですが、
この部分がこんなに表情豊かなのは、
私も初めてです。
スプリングで隠れちゃうのがもったいないくらい。
バック面は今後、バックカット加工を行います。
そこにはどんな木目が出てくるのか、
楽しみで仕方ありません。
実は私、
ブラックリンバの加工は初めてなんですが、
ブラックじゃないリンバウッドとはだいぶ感触が違います。
ブラックタイプは芯材(木の内側のほうの部分)に近いところだそうで、
そのせいかある程度の油分があり、
手触りなんかはチークと似ています。
ところが削ってみると思いの外素直な木質で加工性が良く、
嬉しい誤算でした。
木目の変化具合と合わせて、
加工を進めるのが楽しい材ですね。
以前もご紹介したネックは、
形状加工が既に完了し、
フレットの装着を待つ状態です。
素晴らしいグレードのバーズアイメイプルに、
ハカランダ指板。
ヘッド先端のコアインレイは
ボディトップ材の余りを使っています。
世の中木材にこだわったギターは多いですが、
ここまで希少材を組み合わせたものも珍しいはず。
こんな組み合わせで、音は大丈夫?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
それこそここからがハンドメイドの真骨頂です。
材の響き、重さ、油分、
木材を加工していく過程で、そういったものを肌で感じることが出来ます。
ご依頼主のご希望もお伺いしつつ、
私もこれまでの経験や勘を総動員し、
「ここはあと〇ミリ削り込んでみよう」とか、
「ボディは〇kgに収めたいから、コンター加工は深めに」とか、
図面には表れない微調整を繰り返しながら、
楽器として詰めていくことが出来ます。
もちろんこれはどんな材を用いた場合にも言えることで、
1点物のオーダーギターの大きなメリットだと思います。
その分、職人の経験や技量はもちろん、
お客様との信頼関係が大切なのは言うまでもありません。
それにしてもこのギター、
どこを見てもあまりに素敵で、
ついつい眺めている時間が長くなって困ります。
何よりも、これを手掛けさせていただいている私が
一番贅沢させていただいていますね。
お盆明けから、完成に向けて一気です。