今週はサッカーが大変。
今日は我らがジュビロ磐田が、
昨年の王者広島を完膚なきまでに(?)叩きのめしたそうです。
まさかの3-4-2-1。
まさかの0トップ。
名波監督やるじゃない。
優勝争いとまでは行かないだろうけど、
楽しいシーズンになってきました。
そして日曜はもっと大変プレミアリーグ。
テレビにかぶりつくこと決定ですので、
ブログは早めに更新しておきましょう。
今日はまぁ
すごいオーラの楽器をお預かり。
蝶のマークを気にするとプレッシャーが凄いので、
ご依頼に集中することにしました。
ご依頼の内容は、
摩耗が進んだナットの交換と、
全体的なセットアップです。
ナットには真鍮(ブラス)材が使われています。
素材の変更も検討しましたが、
今回はオリジナルに忠実に行くことに。
まずは真鍮の厚板から必要量を切り出します。
切り出した真鍮板の厚みを整え、
ナットの形状を罫書きます。
上の線が成型したい実線。
下の線はフレットの高さを記したものです。
もちろんなんとなく書いているものでは無く、
むしろここでいかに正確な罫書きが出来るかが
この後の加工精度に大きく影響します。
そしたら実線まで研削。
エコノミーサンダーでガーっと削ります。
尋常では無い摩擦熱が発生しますので、
素手では絶対に持っては行けません。
2秒で火傷します。
ご覧のようなハンドクランプでがっちり固定して、
何度も水道で冷やしながらの作業です。
そしたら万力に固定し、
弦溝の位置を記します。
この弦溝の位置、
1弦から6弦まで均等に割り付ける訳ではありません。
6弦ベースともなると、
1弦と6弦の太さの差は約3倍。
それを考慮しながら、
1弦から徐々に弦の中心間隔が広くなっていくように取って行きます。
納得のピッチが記せたら、
溝を切って行きましょう。
万力に挟んだ状態であらかた削れたら、
楽器に合わせてみます。
ナット交換がいつもそうではありませんが、
今回は諸々の事情で、この段階で弦を張り、
弦溝を完全に仕上げてしまいました。
この溝加工の難しさはなかなか説明が難しいですが、
演奏感、チューニングの精度、ナットの寿命等、
多くの要素を左右します。
ギターの技術の中でも特に経験値が重要な部分と言えます。
普段は骨系の素材が多いナット加工、
真鍮の硬さはなかなか堪えます。
そうこうして溝はバッチリ。
もともと付いていたナットの仕上がりはこんなもんでしたが、
私はもちろんこれでは終わりません。
弦溝以外の形状の仕上げを進めていきます。
バリの出た「角」の部分を丁寧に面取り。
金属ナットでけがをしたら大変です。
その後ヤスリの番手を細かくしていき、
スチールウールで傷を整えたのが画像中央。
それを研磨剤で磨き上げると右側です。
真鍮ナットは磨きごたえがありますね。
これで完成しましたので、
楽器に接着し、
全体のセットアップを進めます。
6弦ベースのブラスナットという内容ではありましたが、
ギターでもベースでもナット交換の流れは大体同じです。
ナット交換というと、
溝や形が成型された出来合いの物を接着するだけ、
と勘違いされる方が意外と多いのですが、
楽器ごと寸法がバラバラなこの部分。
ほとんどの場合このように、
ブロック材からの削り出しで対応しています。
需要も多い分、
業界全体ナット交換工賃は抑えめですが、
駆け出しの頃などは時間もかかるため、
実は割に合わないリペアの筆頭だったりもします。
で、この普通じゃ無いベース。
ハイエンドベース界の横綱Foderaが作る、
ベーシストの横綱アンソニー・ジャクソンのシグネイチャーモデル。
(P.U.キャビティ内にはヴィニー・フォデラとアンソニーのサインが!)
よりによってこのモデルを
この片田舎で拝める日が来るとは・・・。
平静を装っていましたが、
心底ビックリしました。
それにしてもこの杢の出たウィング材・・・
アッシュ?
この木一つとっても、日本じゃなかなか拝めませんぜ。
記念に、
今回の修理とは全く関係の無い写真を
いっぱいとってしまいましたとさ。
(アンソニーのサインもね・・・見せないけど)