2015年最後の
店頭リペア・メンテナンス相談会は13日の日曜日。
場所はおなじみ、すみやグッディ藤枝店さんです。
13時スタート、ご予約不要、お待たせしたらごめんなさい!
1年の締めくくりに、皆さんの愛機の状態をしっかり診断。
人間もギターも、すっきりと新年を迎えましょう!
さて、
菊川ハンドメイドギターショーでも展示させていただいた
Fodera NYC Empireのバックアイバールトップカスタマイズ。
多方面より大きな反響がありました。
(ご覧になっていない方はそちらのブログエントリーもどうぞ!)
実は、
そのバックアイバールプロジェクトとほぼ時を同じくして、
別の大型カスタマイズ企画も進行しておりました。
今日はなんとなく、
いつもと違った趣で紹介してみます。
まずは・・・
いきなり完成形から!
Philip Kubickiの伝説のベース
EX Factor Bassです。
Fender Custom Shopからリリースされていたこともあるこのベースですが、
この個体はKubicki工房時代のもののようです。
存在感がすさまじい
カッコ良すぎるオリジナルブリッジ。
4弦にエクステンションフレットが付いた、
個性的なヘッドレスベースですね。
ベースとしては短い32インチスケールでありながら、
ブリッジ部分が弦長を稼いでいるので、テンション不足も感じません。
設計力の高さに脱帽です。
ところで、
オリジナルのFactor Bassは
この鮮やかなマゼンタピンクカラーでもなければ、
キルトメイプルトップでもございません。
私が何をしたのか、
時をさかのぼってみてみましょう。
塗装はウレタンのグロスフィニッシュ。
ただマゼンタピンクで着色されているだけでなく、
その前に一度染色されているようですね。
作業中はそれはそれは目が疲れましたとさ。
その前は・・・
キルトメイプル接着前は
元もメイプルのボディ材。
でもなんだか、
4弦側の肘の部分だけ、
色が違いますね・・・・
肘の部分のアルダー材は、
私が接着したものです。
元のボディのエルボー部分には3Dなカットが施されており、
このままではトップ材を貼ることが出来ません。
エルボー部分の形状はそのままでも良かったのですが、
ご依頼主と相談の結果、
トップ材全面にキルトメイプルを貼るために、
このように一手間加えてみました。
あらためて、
ビフォーアフターをご覧ください。
ヘッドレスベースの代表格、
Steinbergerと同時期に人気を博した
このEX Factor Bass。
ピックアップやサーキット等はオリジナルそのままに、
ルックス面に大きなカスタマイズを加えました。
ハイグレードなキルトメイプルを出来るだけ目立たせるため、
オリジナルに施されていたエルボーカットを取りやめ、
ブリッジサイドに1弦側同様のカットを施しています。
再塗装されたバック面のブラックが
ナチュラルバインディング仕様のマゼンダピンクを
より一層鮮やかに見せます。
こうして世界に一本だけの
EX Factor Bassが完成し、
無事ご依頼主にお返しすることが出来ました。
ご依頼主は
多くの工房さんにこの依頼を断られたそうです。
理由のほとんどは「加工リスクが高い」ということ。
そうこうして、
はるばる九州より、
静岡の当工房までご依頼いただく流れとなりました。
私とて、
リスクがあることは重々承知しています。
請けるに当たっては、
多少の怖さもありました。
だからこそいつも以上に頭を使うし、
集中するし、工夫するし、準備をする。
それが何とも楽しいのです。
その一連の流れの楽しさを知っちゃうと、
こんな大チャンス、断るなんてもったいない。
簡単に断るビビリな人間にもなりたくない。
・・・と言っても、
何でもかんでも請けるわけではありませんので、
お断りしたらごめんなさい。