今日はとてもシリアスな内容です。
まずはこの作業をご覧ください。
こちらはGibsonのLes Paulのリワイヤリング(配線やり直し)のご依頼。
元の画像を撮り忘れてしまいましたが、
大手メーカーさんでも見えないところは詰めの甘い作業が散見されます。
塗ってある意味があやしい導電塗料をしっかり塗り直しシールディング。
元の配線材やハンダの痕は出来るだけ綺麗に除去し、
1つ1つ丁寧に配線をやり直していきます。
配線材の取り回し方ひとつにも、
私なりのコダワリがあり、
どなたに見ていただいても「綺麗」と思っていただけるような配線を
常に心がけております。
今回の配線も、
普段のレスポールの配線をご存知の方々には
そのスッキリ具合を
驚いていただけるのではと思っています。
続いて、こちらをご覧ください。
こちらも先日当工房に送られてきた
配線修理です。
ご依頼内容は
「某工房さんで配線のカスタマイズをしてもらったんだけど、
音やノイズのレベルが明らかにおかしい。
問い合わせても『うちのアンプでは正常ですよ』の一点張りで困っている。
見てもらえないか?」
というものでした。
届いた楽器をアンプにつないで私は絶句。
正常とはかけ離れた、酷い音です。
そしてピックガードを開けてみて、再度絶句。
それが画像左側です。
いまどき、専門学校生の方がもっときれいな配線をします。
結果的には、間違っているパーツ、配線を変更し、
全てではないものの、
目に余る酷い取り回しを修正し、
無事修理完了となりました。
それが画像右側です。
私の仕事柄、
他の職人さんの仕事を見ることも多く、
それらは私に大きな刺激を与えてくれます。
一方でこのように、
とてもプロとは思えない仕事にも少なからず遭遇し、
そのたびにとてもがっかりします。
この1年間でも、
片手では足りない数の同様のご相談を承っております。
日本では、ギターの修理に資格は要りません。
私も含めて「自称」リペアマンです。
中々難しい作業かとは思いますが、
ご自分の大切な楽器を預けるに値するリペアマンは
皆さん自身が探さなければなりません。
分からないこと、不安なことは何でも聞いて下さい。
ご納得頂けるまで、丁寧にご説明させていただきます。
「高い楽器じゃないから」
「全然弾けないから」
「細かいこととか知らないから」
とご謙遜されるお客様も多いですが、
遠慮せずお問い合わせ下さい。
私が日本一などと申し上げるつもりは毛頭ございません。
(元職メーカーには化け物みたいな職人さんゴロゴロ・・・・)
ただ、お預かりした1つ1つは、
何よりも責任感を持って
お金にならないところまでこだわって
作業させていただいているつもりです。
少なくとも「工房」とか「リペアマン」とか「職人」とか名乗る人間には、
私と同様以上の矜持を持って仕事をしていただきたいと思います。
そうすれば、
日本のギターシーンはどんどん良くなる。
そういう思いもあって
皆様に本物の職人を知っていただきたく、
菊川ハンドメイドギターショーを企画させていただきました。(結局宣伝!)
このイベントに集まる職人たちは、
私が認める(エラそうですいません)本物の職人さん達。
その仕事振りを少しでもご覧いただけたら幸いです。
ちなみにこの配線は
Fenderのエリッククラプトンミッドブースターに
オンオフ機能を追加するというカスタマイズ。
以前このブログでもご紹介させていただいたものと同様です。
このサーキットは他のオンボード回路と異なり、
ボリューム回路もサーキットの一部となっている為、
ボリュームを切り離してオンオフをするためには、
アクティブサーキットの知識が必要となります。
つまり、エフェクターのモディファイをするような感覚。
ギターの修理屋さんでも、
そこまで出来る人はそれほど多くはありません。
同業者でこれをご覧になっている方で、
そのカスタマイズのやり方がわからない方がいれば、
どうぞお問い合わせ下さい。
わたしもがんばって勉強して、
こういった知識を身に付けました。
流行り廃りが激しいギター業界で職人をするには、
そのような勉強を一生続けなければ
世の中の変化に付いていけませんよ。
と、自分を戒めて、
今日のブログはおしまい。
たまには吐き出さないとね。
スッキリしましたので、
明日からまた頑張ります。