当工房では
ラッカー、ウレタン2種類の塗料を用意しています。
ビンテージギターにはラッカー塗料が用いられていることが多く、
ラッカーの方が高級なイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、
特にそういうことはありません。
むしろお値段的にはウレタン塗料の方が割高です。
ラッカー塗装=薄い塗装=鳴りが良い、
なんてことも耳にしますが、
塗膜の厚みは単純に吹き付ける量ですので、
ウレタンでも薄い塗装は可能です。
確かに市場に出ている製品では
ウレタンの楽器は厚い塗膜のものが多いですが。
ラッカー、ウレタンどちらにも長短ありますので、
それぞれの楽器に合ったものをご提案させていただきます。
で、今回のギターはウレタン。
管理に手間がかからず、経年変化が少ないことが魅力です。
左画像はトップコート吹き付け後、塗料が硬化した状態。
一見綺麗な塗装に見えますが、表面は細かい凹凸があり、
映り込む蛍光灯もぼんやりです。
グロスと呼ばれる鏡面仕上げをするために、
塗膜表面を細かいやすりで研磨していきます。
細かいヤスリは目詰まりを起こし易いので、
ご覧の通り、石鹸水を使って塗装カスを逃がしながらの作業です。
当工房が使用するウレタン塗料は硬いので、
この作業はラッカー塗料の倍の時間かかります。
研磨完了が一番右の状態。
紙やすりの粒度は#1500です。
そしたらバフがけに移ります。
高速回転するバフ布に研磨剤を付け、
塗膜表面を磨いていきます。
曲面や角が多いギターボディのバフがけ難易度は非常に高く、
全ての面ばっちり仕上げるためには
かなりの経験を要する作業です。
硬いウレタンの傷取りは大変です。
特に今回は、ギラギラするコアのせいで、
傷が見にくいこと見にくいこと。
やはりラッカーより時間はかかりますが、
ラッカーのような歪みは出にくいので、
極めて美しい鏡面を楽しむことが出来ます。
あらためて
ビフォーアフターを比べてみましょう。
左画像が塗装吹き付け後。
写真中央がバフがけ後です。
映り込む蛍光灯が別物ですね。
光がしっかり透過する分、
カーリーコアも余計にギラギラです。
もちろん、コアで製作した裏パネルも
同様に仕上げさせていただきました。
塗装の仕上げが全て完了したら、
各キャビティの仕上げに移ります。
配線関係のキャビティにはノイズ対策を。
その他見える部分は、マットブラックに仕上げました。
ネックは今回、
艶を抑えたサテン仕上げ。
サラサラの手触りが素敵です。
この後はいよいよパーツを付けていきます。
楽しみだ!