アコギの修理が続いてます

なんだか雨が続きますね。


湿度が高すぎるとギター製作の邪魔をするため

困ったものです。

ラッカー塗料なんかは

「かぶり」と呼ばれる

曇ったような現象が発生しやすくなるため、

雨の日は作業を中断せざるを得ません。



ま、花粉飛ばないからいいんですけどね。



修理のご依頼は

相変わらずのアコギ続き。

特に今月は

なかなかの重症患者さんの連続でした。

左はGibson J-45。

トップ割れ2か所のご相談でした。


アコギのトップに割れが発生する原因はいくつかありますが、

今回のこれはブレイシング(内部の力木)の接着が外れ

トップ板の強度が不足し、

弦の張力に耐えられなくなったことが原因でした。


トップ割れに慎重に接着剤を流し込み左右から圧着。

翌日外れてしまったブレイシングをしっかりと再接着しました。


割れ部分の一部には裏から木製のパッチを貼り、

再発を防止しています。



右のYAMAHAエレアコはもっと重症。

ボディトップから大きな力が加わったのか、

トップ面がとんでもなく陥没しています。

弦を張ると、さらにトップが沈んでしまうような状態でした。


内部を調べると、

やはりブレイシングに大きな損傷。

4日間程かけて1本1本丁寧に修復しました。


どちらのギターも弦を張ったまま数日観察し、

作業完了となりました。



このようにアコギは、

ブレイシングに問題が出ると

様々なトラブルを併発します。


定期的にプロによる診断を行って、

大きなトラブルにつながらないようにケアしていくことが大切です。


人の健康と同じですね・・・。



続いては、

Taylorのネックリセット作業。

アコースティックギターの弦高を下げたい場合、

ネックの反りやナットに問題が無ければ、

ブリッジサドルを削って対応することが多いです。


このギターはすでに限界までサドル高を下げていたのですが、

オーナー様はもっと弦高を下げたいとのこと。


そこで、ネックの仕込み角度を調整することにしました。


一般的なアコギのネックのリセットは

接着されているネックを取り外すという大手術なのですが、

このTaylorが採用しているNTシステムは、

ボルト3本を外すとネックが外れるため、

比較的容易に仕込みを調節出来ます。


ご覧の通りネックを外すと、

「シム」と呼ばれるスペーサーが挟まっていて、

このシムの厚み等を調整することで、

ネックの取付具合を変えられるということです。


元はご覧の「8」と書いてあるスペーサーが挟まっていました。

これを加工してしまっても良いのですが、

取っておけばまた元に戻せるため、

今回は新しいスペーサーを製作することに。


写真右側が新しく製作したスペーサーです。

元のものとは違い、

上側と下側で0.7mm程厚みを変えることで、

ネックに角度が付くようなものを作りました。

こうしてネックには多少角度が付きましたので、

それに合わせてサドルを新調。


ネックに角度を付けた分、

弦高を下げてもサドル自体の高さは高くなり、

サウンド的にもより張りのあるものとなりました。


このギターの様に、

アンダーサドルピエゾピックアップが載っているものは、

サドルを低くし過ぎると、弦の当たりが弱くなり、

ピエゾの感度に悪影響が出てしまいます。


今回の修理は、

そのピエゾの出力を安定させるためにも

非常に効果的なものとなりました。


最終的にこのギター、

エレキ並みの弦高です。


アコギをこのようにセッティングすることは少ないので、

その弾きやすさを堪能したいのですが、

いかんせんレフトハンドモデル・・・・・。

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静岡県島田市のギター工房です。
カスタムオーダーギター・ベースの製作、リペアとカスタマイズ、オリジナルエフェクターなどの設計・製作をしています。

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