先日のグラミー賞2015、
Ed Sheeranの素晴らしいパフォーマンスの後ろで、
スーツ姿、伊達メガネ(?)でギターを弾いていた方を
ご覧になりましたでしょうか?
John Mayerでしたね。
相変わらずの素晴らしいオブリとソロでしたが、
何が驚いたって、
使っていたギターです。
まさかのJackson Soloist!
コンコルドヘッドにシャークインレイ、
もちろんフロイドローズ。
カラーは濃い目のサーモンピンク。
ヘビーメタルの象徴みたいなギターも
弾く人が変わると全然印象が変わるもんですね。
John Mayerのせいで、変な人気が出るんだろうなぁ・・・・。
今日ご紹介するのは、
年末年始の修理関係で、
最も大がかりだった案件です。
カナダのLarriveeの代表機種L-10です。
素晴らしいグレードの木材に、
アバロン(アワビ貝)による装飾が、
ボディ、指板、ヘッドに施されている、
とても上品なモデルです。
非常に強い衝撃が加わったようで、
ボディの1弦側、
広い範囲でトップとサイドに剥がれが生じています。
アバロンの装飾もダメージを負っているようです。
まずは接着作業。
剥がれた部分がピタッと合わさるように、
木のササクレ等を丁寧に除去して行きます。
今回のものはサイド材にゆがみまで生じていましたので、
接着時には側面からも適度な力をかけていきます。
しっかりと乾燥させ、
装飾系の修理に移ります。
今回はご覧の様に、
長さ8cm程の範囲のアバロンインレイが無くなっています。
アワビ貝の板から切り出し、
少しずつ削って、形を合わせていきます。
細さは1.5mm程。
天然貝は固く、折れやすく、割れやすいため、
慎重に作業を進めます。
そうして綺麗にはまったら
こちらも接着。
研磨して、写真右の様になりました。
その後、塗装に移ります。
必要最低限の下地塗料を吹き付け、
若干の補色をしてトップコート。
乾燥後、元の塗料となじませて
鏡面に仕上げ、完了です。
この後弦を張り、全体をセットアップ、
数日様子を見て、全ての作業が終了です。
フレットやナットの摩耗具合を見ると、
オーナー様にはとても愛されているであろうこのギター。
修理を担当出来て良かったです。