トップページでもご案内させていただいている通り、
明日19日は毎月恒例の
すみやグッディ藤枝店、
無料ギター診断&リペア相談会です。
皆様お誘いあわせの上、
お気軽にご来場ください!
いつもリペア相談会では
工房謹製のギターケーブルを使用しています。
長さ5mのものを使っていたのですが、
ちょっと長いかな?
と思っていたところで、
今回ケーブルを新調しました。
せっかくですので、その製作工程をご紹介します。
ある程度慣れは必要かもしれませんが、
作業内容はDIYで十分可能なもの。
自作派の方は、是非挑戦してみてください!
今回は写真の様に、
2mと3mの2本をこしらえました。
まぁなんとも個性的なカラーリング。
我ながらセンスを疑います。
ほんとはもっと渋くなるはずだったんですが・・・lol
気を取り直して、
製作工程をばーっと行きましょう。
ギターケーブルというと「黒」というイメージですが、
今回使っているのも黒いケーブルです。
ケーブルに「PETチューブ」という外装を組み合わせています。
PETチューブ自体は、
ケーブル本体の保護の役割がありますが、
外見も個性的、かつ取り回しも良くなりますので、
自作する方はおすすめです。
ケーブル本体、PETチューブ、プラグ全て、
今では通販で購入可能ですね。
お好みで選んでみてください。
まずはケーブルをPETチューブに通します。
その後PETチューブがずれないように、
端から15㎜程度のところを、瞬間接着剤で固定。
最終的にプラグの中で隠れるところを接着しましょう。
続いてはんだ付けの準備です。
カッターナイフで被膜を剥いて行きますが、
ギターケーブルは基本的に「シールドケーブル」という類の
2重構造ケーブルです。
外側と内側の線がショートしてはいけませんので、
それぞれの工程慎重かつ確実にこなしていきましょう。
まずは外側の被膜を新調に剥きとります。
銅線が出てくる手前まで切れ込みを入れ、
あとは手で引っ張った方が確実です。
どのくらいの長さ剥くかは
使用するプラグの端子位置に合わせて調節してみてください。
この外側の線が
信号のアース側(コールド側)のラインになります。
続いて芯線へ。
まず先ほど剥いて出てきた外側の線を
ネジってよけておきます。
すると黒い絶縁被膜がまた出てきましたので、
さらに内側の芯線を数ミリ剥きだします。
ここから重要ポイント。
これはギターケーブル特有の構造ですが、
実は内側の絶縁被膜の周りには
導電性の素材が巻かれています。
ギターケーブルは演奏中動きますので、
その動いた時のノイズを消すために存在するものなのですが、
導電性があるため、芯線とショートすると、
音が出ない、もしくは音が極端に小さくなるというトラブルが出ます。
つまり、剥き出しになった芯線付近の導電素材は
綺麗に切り取っておきましょう。
上写真では、
黒かった絶縁体が、
一皮むいて白くなったのが見えますでしょうか?
ちなみにこの絶縁被膜は、
1芯シールド構造の楽器ケーブルに多くあるもので、
2芯で有名なBELDEN社の8412ケーブルなんかにはありません。
(その変わり、奴にはもっと厄介な邪魔者が入ってますが・・・)
つまりメーカーや型番によっても内部構造は異なりますので、
メーカーHP等ご参照ください。
そうして綺麗に銅線が剥き出しになったら、
その銅線にはんだを染み込ませておきます。
「予備ハンダ」とか呼ばれる作業ですが、
これにより後のハンダ付の精度は格段に上がりますので、
必ず行っておきましょう。
今回使用したプラグは、
NEUTRIK(ノイトリック)社という
リヒテンシュタインというヨーロッパのお国の製品です。
ヨーロッパのコネクタメーカーでは
最も有名です。
ギターに使う「フォンプラグ」というタイプのプラグは
アメリカのSwitchcraft社が有名ですね。
NEUTRIKはそれに次ぐ人気かと思います。
NEUTRIKのプラグは、
上写真の様に4つのパーツを組み合わせます。
まずは、硬いゴムでできたブッシングに
ケーブルを通しておきます。
パワーです。
これを忘れると、後からは付けられませんので
ご注意を。
(私はかれこれこのミスを10回以上やっています!)
そしていよいよプラグ本体とケーブルをハンダ付しますが、
その時にプラグ側が固定されていないと
作業性がとても悪いので、
エフェクターのジャックにでもさしておきましょう。
モノラルのフォンプラグには端子が2か所ありますので、
それぞれにケーブルの2か所をはんだ付け。
プラグの端子にも予め予備ハンダをしておくと、
作業性がとても良いです。
両端合わせて
わずか4か所のハンダ付けですが、
これがケーブルのトラブルの有無を決定付けます。
綺麗に納得のいくハンダ付けが出来るまで、
何度でもやり直しましょう。
ハンダ付けが無事済んだら、
ケーブルクランプを取り付け
(先端の延長部は折り取ってください)
キャップをはめたら完成です。
ちなみにこのケーブル
反対側は変わった色のプラグを付けました。
これ「サイレントプラグ」というケーブルで、
プラグの付け根部分がスイッチ構造になっているケーブルです。
このスイッチにより
ギターに刺していない時には
「ミュート状態」になるという優れもの。
アンプのボリュームを下げなくても
ギターからケーブルを抜くだけで、
ミュートされ「サイレント」な状態になります。
アンプを操作することなく
ギターやエフェクターの抜き刺しが出来ますので、
非常にスピーディな作業が可能で、
普段それらの動作チェックなどが仕事上多い私にとっては
とてもありがたい商品です。
もちろんスタジオやステージでの
楽器交換時にも威力を発揮しますし、
アンプのセッティングを変えずに
音を聞き比べしたいときなんかも
必須のアイテムです。
こんなケーブルが作れてしまうのも、
自作の良いところですね。
最後にホームセンターなんかで売っている
ケーブルタイを取り付けると、
とても使いやすいですよ。
今回は爬虫類系のケーブルになっちゃいましたが、
これまで作ったものはこんな感じです。
実際カスタムケーブルは
いざケーブル本体を高級なものにしたり、
PETチューブを被せたりすると、
楽器店で売られているものと変わらない値段がしますが、
やはり楽器の一部。
是非こだわってみてください。
製作にお時間の無い方は、
もちろん当工房でも
製作代行可能です。
お気軽にご相談ください。