先日リペアのお問い合わせをいただきました。
新品で購入されたギターの指板の角が
弾いていてどうも気になるので、
改善してほしい、という内容でした。
結論から言うと、こんな感じのカスタマイズです。
演奏中に指の腹に当たることになる
フレットのエッジや指板の角の形状は、
演奏性に大きく影響します。
本来は全ての楽器、丁寧に仕上げていて欲しいところなのですが、
いかんせん手間とコストのかかる部分でもあり、
低価格帯の楽器ではその処理に限界があります。
また、指板自体のヤセにより、
フレットエッジが飛び出てしまい、
演奏に支障をきたしてしまうこともあります。
今回は写真上のような状態の指板を
下の様に加工しました。
指にやさしい形状になっているのがお分かりいただけるでしょうか?
それにしてもこの作業、
全て手作業で行うしかありません。
指板の角はもちろん両側行いますので、
フレットの本数×2回同じことを繰り返します。
フレットエッジは、1本に付き4か所(フレット両端のヘッド側とボディ側)
ありますので、フレットの本数×4回同じことを繰り返します。
このような作業の時、
ビンテージライクな21フレット仕様と、
モダンな24フレット仕様の差は、
たった3本ですが、
精神的には重くのしかかってくるのです。
さぁ、お預かりした楽器はと・・・・・
今日ばかりは、Ibanez社を恨みましょう。
最近発売された、30Fモデルですね・・・。
詳細はこちらをどうぞ・・・。
こうなればもう、
逆に開き直りです。
細かいことは考えず、
最高の仕事を見せようじゃあありませんか。
まずは、フレットのエッジを丸めます。
この作業、昔はほんとに苦手だったなぁ・・・。
その分研究を重ね、
今では好きな作業の一つです。
さらに指板エッジ、
今回は一部のメーカーが採用するような、
やや大きめの面取りを施しました。
写真の様に、マスキングテープで深さの目安を作りながら、
ガシガシ削って行きます。
このままでは傷が目立ちますので、
全体的に磨き上げると・・・
ご覧のような美しい仕上がり。
一気に高級感が高まりました。
通常では体験出来ない、
超ハイポジションのせまーい部分もがんばってみましたよ。
もちろんこの辺、あまり意味はなく、
単なる意地です。
この処理を行うと、
なんとも指辺りが良く、
ずっと弾いていたいような気持ち良いネックに変わります。
普段ネックを握りこむタイプの方には特に
お勧めの作業です。
今回施したような形状以外にも様々な処理方法がありますので、
楽器のさらなるカスタマイズにいかがですか?