エレキギターのトラブルの中でも厄介なのが、
ハウリングです。
ハウリングの原理はとても単純で、
アンプからの音(空気振動)がギターのどこかと共振し、
その共振をピックアップが拾ってしまうと、
ハウリングが起こります。
共振部分が弦の場合がハウリングではなくフィードバックと呼ばれ、
それは弦をミュートしていれば起こりません。
ハウリングは弦に関係なく発生します。
ボディ内部に空洞が少ないエレキは
そもそも構造的にハウリングは起こりにくいはずです。
それでも起こってしまう場合は、
その原因はピックアップ自体にあることが多いです。
例えば、ハウリングしやすいピックアップの代表は
こんなものです。
ハムバッキングピックアップに
後付けで金属カバーを取り付けると、
どうしてもカバーとピックアップの間には
多少の空間が出来てしまいます。
実際に今回も、カバー取付&ハンダ付け後、
写真右の様にアンプに直結してみると、
アンプに近い位置でハウリングを起こしました。
このパターンに限らず、特に古いピックアップは
構造的な変形などにより、
ピックアップ内部に空間が生まれ、
ある日ハウリングを起こしやすくなるものがあります。
新しいギターでも、
楽器を倒したり、強い衝撃が加わることで、
この症状が起こることがあります。
ピックアップ本体やその周辺を叩いた音が
アンプからトントンと出てしまうものは、
まさにこの症状と言えます。
その場合のリペアとして代表的なのが、
ピックアップの蝋付け(ワックスポッティング)です。
溶かした蝋にピックアップを浸すことで、
内部の空間に溶けた蝋が流れ込みます。
冷めて固まれば、ハウリングしにくいピックアップになるという仕組みです。
使うワックスの種類や配合、
浸す時の温度管理など、なかなかに気を遣う作業です。
ただ浸すだけでも良いのですが、
さらに奥まで浸透させるために、
キッチン用品が大活躍。
写真左の様に、
真空タッパー内でこの作業を行うと、
空気を抜いていくごとに
ピックアップの中からブクブク~と
気泡がたくさん出てきます。
実際には、
蝋の温度を変えながら2~3回浸し、
ある程度冷めて固まったら余分な蝋を除去、
完全に冷めるのを待って作業完了です。
今回は参考までに
ビフォーアフターで、重さ量ってみました。
あまり細かい量りではないので、
本当に20gもワックスが入ったかはわかりませんが、
持った感じもややずっしりします。
もちろんアンプに直結しても、
ハウリングは全く起こらず、
打音もアンプから出なくなりました。
作業は成功のようです。
ピックアップの種類によっては
あまり効果の出にくいものもありますが、
ハウリングに悩むギタリストの皆さん、
是非お気軽にご相談ください。