ご依頼が多いリペアはやはり、
演奏面やサウンドに関わる部分がほとんどです。
ナットやフレット、配線周りも多いです。
どの作業も数をこなすことで身に付く、
「技術」が何よりも大切です。
本日紹介するリペアは「技術」よりも
「アイデア」「度胸」「センス」「根性」
そんなものの方が大切な、塗装リペアのご紹介。
とてもきれいなアコースティックギター。
サウンドボードの目立つ部分に、激しいダメージが!?
譜面台に当ててしまい、
局所的に塗膜が剥がれてしまっています。
木部のダメージはほとんど無いのが
不幸中の幸いでしょうか。
この補修が今回のご依頼です。
このような部分的な塗装リペアは、
単純にどうやって治すか、
その選択が全てと言っても過言ではありません。
選択一つで難易度も仕上がりも大きく変化してしまいます。
今回は上写真の様に、
一度周辺を研磨、割れや浮きの出た塗膜を完全に除去し、
下地から再形成する方法を選択しました。
まずはサンディングと呼ばれる塗料で、
木材の上に塗膜を作ります。
乾燥後研磨し、平滑を出したのが一番右。
そしていよいよ
タッチアップと呼ばれる色合わせの作業です。
このように一見ナチュラルカラーのギターも
ほんのり黄ばみを付けてあるものが多く、
新しく塗装した部分にも同様のカラーを乗せる必要があります。
ここからはもうひたすら
調色 ⇒ 実験 ⇒ 調色 ⇒ 実験
この繰り返しです。
何を混ぜればより近い色になるのか、
カラーセンスと妥協なき精神が問われます。
今回は、元の木の色の上に、
黄色、赤色、黒色、茶色の4色を混ぜて
違和感無い色に仕上げることができました。
トップコートを乗せ、
元の塗料となじませたのが右写真です。
なかなか良い感じでしょうか?
塗装リペアは何度やっても刺激的で、
達成感も大きい作業です。