なんだかここ数日、梅雨のような天気ですね。
工房の湿度管理に気を遣う毎日ですが、
どうしても木材の表面がしっとりしています。
昔から夏の暑さにはうんざりするくせに、
ちょっと涼しくなってくるとなんだか切ない感じがしてくるのは、
子供のころ夏休みの宿題を溜めまくったあの憂鬱な感じを
いまだに引きずっているからに違いありません。
なんだか「鳴り」に関する投稿がややご好評いただいている様子ですので、
しばらく引っ張ってみようかと思います。
今日は主に、エレキボディ材の「鳴り」について考えてみます。
まずは超メジャー材の復習から。
写真左から、ホンジュラスマホガニー、スワンプアッシュ、アルダーです。
ギター用としてはどれも超定番材です。
産地や学術的な詳しい分類は他サイト様にお任せして、
ここはY.O.S.的偏見に満ちた解説をさせていただきます。
・ホンジュラスマホガニー
ギブソン社の楽器で有名なこの材ですが、
近年材質の低下が著しいのが気になります。
特に比重が大きい(つまりは重たい)材が増えていて、
昔ながらの軽量で良質なマホガニーは高騰しています。
正直やたら重たいホンマホは、個人的に何の魅力も感じません。
今や「ホンジュラス」にこだわるのではなく、
質の良い代用材を探した方が良い気がしています。
アフリカンマホやサペリも良いものはすごく良いです。
・アッシュ
スワンプ(ライトウェイト)アッシュにせよ、ホワイトアッシュにせよ、
とても個体差が大きい材で、
狙い通りの重さのものを仕入れるのはなかなか難しいです。
そのためかいつも余計にストックしておいて、
その中から製作する楽器に合うものをチョイスして使うようにしています。
とてもレンジが広いサウンドで、当工房も多用する材です。
・アルダー
アッシュに比べると見た目の華やかさでは大幅に劣りますが、
その他の点では格段に扱いやすく、製作家にやさしい材です。
ばらつきも少なく、音に癖も無い。
見た目も地味だから、他産業に取られることもなく、
まさにギターになるために生えてるんじゃなかろうかと思います。
個人的には、ボディ材の選択はあまり困ることがありません。
製作する立場としては、材種よりも、
重さと、材の乾燥具合の方が気になります。
逆の言い方をすれば、
アッシュもアルダーもマホガニーも、
重さも形も同じ、ブリッジも同じ、ピックアップも同じであれば、
出る音はとても似ています。
世間の広告に書いてあるような劇的な違いは
個人的に感じたことがありません。
ちょっと過激な発言でしょうか・・・^^;
続いてトップ材。
杢が華やかなメイプル類が人気ですが、
それがソフトメイプルでもハードメイプルでも、
マホガニーやアルダーよりは固く重いため、
貼ることで質量は確実に増します。
つまり「鳴り」で考えたら、
メイプルトップはその分鳴らなくなると考べきでしょう。
逆に、メイプルトップで鳴るギターを作りたければ、
バック材は軽量なものを選ぶ必要があります。
それでも、メイプルトップの楽器は世の中に多いため、
貼ることによって極端に聞きなれない音になることは無いでしょう。
最後にオマケ。
左は、当工房ストックのトップ材で最も硬い、
ブラジリアンローズウッド。
言わずもがな、激レア中の激レアです。
固いですが、からっからに乾燥しているため思いのほか軽く、
ギターに使っても十分鳴りそうです。
音はもちろん未知数。
こんな楽器、他では絶対ありませんので、
気になる方はお早めに唾つけちゃいましょう。
2セットのみの限定です。
右は、レッドウッドのバール(瘤)杢です。
こんなに綺麗なものはめったに出てきません。
レッドウッドは針葉樹ですので、比重はとても軽いです。
スワンプアッシュより少し軽いほど。
見た目とサウンドのギャップが激しい楽器が
出来るかもしれません。
あえて重いマホガニーなんかと組み合わせると
面白いかもしれませんね。
以上結論としましては、
極端に軽かったり重かったりしなければ、
サウンド的におかしいことにはなりません。多分。
木目フェチな方はトップ材にこだわり、
バック材で重さコントロール。
木目を塗りつぶしたい方はアルダーを使いましょう^^;